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純資産会計 その1(株式会社設立)

1.株式会社とは

営業に必要な資金を少額の単位で集め(出資の募集)、出資した人(株主)に株式を発行する会社。
会社の経営方針は株主総会によって決定され、出資額(厳密には株式数)に応じて議決権が与えられる。
資金を集めるさいに株式を発行しない会社を持分会社といい、出資者の責任の程度によって合名会社、合資会社、合同会社に分けられる。

2.株式会社の利点

出資者は出資額の範囲でしか責任を負わない。つまり、債務超過(=純資産が負)で倒産、解散しても、出資金額を放棄するだけでよく、それ以上の債務を弁済する必要がない。
そのことによって、出資者が安心して出資できるようになっている。

3.用語の整理

株式会社
出資の証拠として株式を発行する会社。
出資
経営に必要な資金を提供すること。
株式
出資の証拠となる証券。原則、保有数が議決権数となる。
株主
株式を保有する人や団体。
株主総会
株式会社の経営方針を決定する会議。
議決権
株主総会における発言力(=投票できる票数)。
増資
事業の拡大などの目的で追加の出資を募集するなどをして、資本金を増加させること。

4.新出勘定科目

資産

普通預金
金融機関の普通預金口座に預けているお金。
当座預金
金融機関の当座預金口座に預けているお金。
普通預金に対して、小切手の振出しにより容易に多額の現金を引き出せるが、利息が付かないという違いがある。

純資産

資本金
企業が保有する資産のうち、出資によって得た金額。

5.重要な仕訳

設立時の出資の受け入れ

会社の設立に際して1株5万円の株式を1,000株発行し、全額の払い込みを受け、払込金額を普通預金口座に預けた。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
普通預金50,000,000資本金50,000,000

新株発行による増資

株主総会の決議により、新たに100株を1株8万円で募集し、全額の払い込みを受け、当座預金口座に預けた。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
当座預金8,000,000資本金8,000,000

6.仕訳のポイント

会社法では払込金額の2分の1を超えない金額を資本金とせずに資本準備金とすることも認められているが、原則は全額を資本金とすることを求めている。
容認されているほうの処理は2級の内容なので、原則による処理を押さえておく。

7.課題

  1. 次の取引の仕訳をせよ。
    1. 1株3万円の株式を5,000株発行して会社を設立し、全額の払い込みを受け、当座預金口座に預けた。
    2. 事業拡大を目的として、1株2万円の株式を300株発行し、全額の払い込みを受け、当座預金口座に預けた。
  2. 好きな企業の有価証券報告書を入手し、株主資本の額と発行済み株式数から1株当たりの株主資本の額を計算し、現在の株価との乖離を調べよ。