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損益会計Ⅰ(商品売買)

1.商品売買とは

会社の営業活動の根幹となる、商品の仕入れと売上げのこと。

2.商品売買の処理

3級で学ぶ処理は三分法である。三分法とは、商品の売買を仕入、売上、繰越商品の三つの勘定科目で処理することである。
仕入れの際、配送料なども負担することもあり、受け取る際に支払った金額も仕入れの金額に含めることもある。これを仕入諸掛という。

3.用語の整理

仕入れ
会社の売り物となる商品を買ってくること。
売上げ
商品を顧客に売り渡し、対価を得ること。
仕入先
商品を仕入れた相手。
得意先
商品を売り渡した相手。
掛け取引
代金の決済を後日行うことを約束して仕入れ(掛買い)、売上げ(掛売り)を行うこと。
仕入諸掛
仕入れに付随して支払う配送料など。
売上諸掛
売上げに付随して支払う配送料など。

4.新出勘定科目

資産

売掛金
代金を後日受け取ることを約束して商品を売り上げた際に得る債権。
クレジット売掛金
顧客がクレジット決済を申し出た際の代金を回収する債権。顧客に対してではなく、信販会社に対する債権になる。
立替金
取引先などに対する営業に関係しない債権。

負債

買掛金
代金を後日支払うことを約束して商品を仕入れた際に負う債務。

収益

売上
商品の売上高を記録する勘定。

費用

仕入
商品の仕入れ額を記録する勘定。期末に残った商品の分を繰越商品、売り上げてなくなった分を売上原価に振り替える。
支払手数料
その名の通り、支払った手数料。ここでは、信販会社に支払う手数料。

5.重要な仕訳

仕入側売上側

現金仕入れ

1,000円の商品を仕入れ、現金で支払った。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
仕入1,000現金1,000

現金売上げ

1,000円の商品を売り渡し、現金を受け取った。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
現金1,000売上1,000

掛買い

2,000円の商品を仕入れ、代金は後日支払うことにした。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
仕入2,000買掛金2,000
手形の振出しにより仕入れることも多いが、詳細は手形の項目で説明する。

掛売り

2,000円の商品を売上げ、代金は後日受け取ることにした。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
売掛金2,000売上2,000
売上げの時点で手形を受け入れることも多いが、詳細は手形の項目で説明する。

クレジット決済

5,000円の商品を売り上げ、クレジットカートで決済した。信販会社に売り上げの2%の手数料を売上の時点で支払う。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
クレジット売掛金
支払手数料
4,900
100
売上5,000
売上額と手数料の差額がクレジット売掛金となる。信販会社への手数料は販売時に計上することが多い。

返品

仕入れた商品500円を品違いにより返品した。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
買掛金500仕入500
返品の分、仕入れを取り消すという意味で逆仕訳をする。

返品

売り渡した商品500円が品違いにより返品された。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
売上500売掛金500
返品の分、売上げを取り消すという意味で逆仕訳をする。

仕入諸掛の支払い

商品5,000円を掛けで仕入れ、引き取り運賃200円を現金で支払った。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
仕入5,200買掛金
現金
5,000
200

売上諸掛の支払い

商品5,000円を送料200円とともに掛けで売り上げ、送料を現金で支払った。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
売掛金
発送費
5,200
200
売上
現金
5,200
200
売上諸掛は特に指示がない限り、売上に含めるとともに支払った売上諸掛は発送費で処理する。

仕入先負担の仕入諸掛の立替

商品5,000円を掛けで仕入れ、取引先負担の送料300円を現金で支払った。
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
仕入
立替金
5,000
300
買掛金
現金
5,000
300
仕入側は諸掛を負担しないので、仕入の額に諸掛の分は含まれない。

6.仕訳のポイント

諸掛の処理は最近の会計基準の変更で以前とは変わっている。
古い参考書は使わないほうが良い。

7.課題

  1. 次の取引を仕訳せよ。
    1. 商品5,000円を現金で仕入れた。
    2. 商品8,000円を仕入れ、2,000円を現金で支払い、残額は後日支払うことにした。
    3. 商品7,000円を売上げ、現金2,000円を受け取り、残額は掛けとした。
    4. クレジットカード決済で商品4,000円を売り渡した。なお、信販会社への手数料、売上金額の3%を売上げ時に計上する。
    5. 商品1,000円を品違いにより返品した。買掛金の調整により清算する。
    6. 以前売り上げた商品1,500円が数量違いにより返品されてきた。清算は売掛金の調整による。
    7. 商品3,000円を掛けで仕入れ、当社負担の送料200円を現金で支払った。
    8. 商品4,000円を掛けで売り上げ、当社負担の送料200円を現金で支払った。
    9. 商品2,500円を掛けで仕入れ、先方負担の送料100円を現金で支払った。
    10. 商品を先方負担の送料100円を含めて2,600円で掛けで売上げ、送料は現金で支払った。